米国で大流行の「セイバーメトリクス」、勝ち星より…

わかりやすいタイトルもいいが、ピッチャー個人の自分だけでやり遂げた仕事をセイバーメトリクスで評価されるのもいい。

メジャーの各賞発表が一段落。ア・リーグのサイヤング賞には16勝(8敗)だった
ロイヤルズのザック・グリンキー(26)が輝いた。

 ヤンキースの世界一に貢献したC・Cサバシアやマリナーズのヘルナンデス(ともに19勝)
を差し置いての受賞。しかも、全米から選ばれた記者28人中25人が「1位」という圧倒的勝利だった。

 日本のファンの中には疑問に思った人もいたに違いない。
今、アメリカは「セイバーメトリクス」が大流行。真のエースを決める際、勝ち星だけでなく、
どういう状況で勝ったかが、より評価の対象となっているのだ。

 グリンキーの場合「FIP」すなわち、
{(本塁打×13)+(四球−故意四球死球)×3−(奪三振×2)}÷投球回数+3.12
でトップだったことが決め手となったといわれる。

 やや難解だが、投手が試合の中で自分1人でコントロールできるのは
三振、本塁打、四球だけと考え、野手の素晴らしい守りに助けられたり、
足を引っ張られた場合を一切除外して計算している点が特徴。
数値は防御率に近いが、投手1人の力がより正確に反映されるといわれる。

 グリンキーのFIPは断然トップの2.33。ヘルナンデスは3.09。サバシアは3.37だった。

 ロイヤルズという貧打線とまずい守備に苦しめられながらも堂々の1位。
しかも防御率(2.16)は両リーグトップ。そのほか、奪三振、投球回数でも
上位を占めたことが“圧勝”につながった。

 「セイバーメトリクス」を意識した記者の投票は、来季以降も“トレンド”になりそうだ。