ベースボールヒエラルキー?←米国・日本・アジアの関係

昨年からアジアシリーズも始まり,日本以外のアジア諸国の野球を生で見るチャンスも増え,また韓国や台湾の有力チームは沖縄で春季キャンプを張ったりすることから,日本とアジアの野球における関係は急接近している。しかしながら,リーグのレベルで言えば韓国・台湾ともに実力・規模の面で日本にはまだ追いつかない現状。それに加え,今オフは中国・台湾の有力選手が日本へ多数「流出」する恐れがある。

このオフ、韓国LGからFA宣言した李炳圭(イビョンギュ)に、中日が12月上旬にも条件提示することがわかった。日韓の両コミッショナー事務局を通じて身分照会していたが21日、「FAである」旨の回答がきた。ここから正式交渉は可能だが、李は韓国代表としてアジア大会への参加が決まっており、帰国を待って金銭面の交渉を行う。(トーチュウ
中日といえばかつてイジョンボムやソンドンヨルら有名韓国人選手を輩出しアジアに近しいチーム。今オフはとにかく外野を補強ポイントにしており,サミーソーサ(浪人中)の獲得も噂されているが,このイ外野手が候補筆頭だろう。

ロッテが台湾プロ野球ラニューの呉偲佑(ウ・スヨ)投手(24)を獲得することが22日分かった。近日中に発表される。呉偲佑は今季17勝3敗、防御率2・27で楽天入りした誠泰・林恩宇(リン・エンユウ)と並んで最多勝を獲得。アジアシリーズでも決勝進出を決めた韓国サムスン戦で先発し、5回2/3を2失点と好投した。同試合を視察したバレンタイン監督が呉偲佑の実力を高く評価、即戦力左腕の補強も急務であることから水面下で獲得交渉を続けていた。(スポニチ
インチェ楽天)に続き,今オフにも台湾ナンバーワンとされる左腕投手が日本の千葉ロッテに移籍。楽天はさらに今オフに台湾のナンバーワン右腕とされる投手,林恩宇(リンエンユウ)を獲得。

日本からは松坂大輔井川慶岩村明憲とそれぞれの「ナンバーワン」と言えるような選手が大リーグに「流出」し,上記のように韓国・台湾の「ナンバーワン」が日本にやってくる構造。これは明らかに人材面で野球のヒエラルキー構造ができているということではないか。

日本における救いというのは,阪神にドラフトで入りWBCで台湾の4番を打った林威助(リンウェイツゥ)および讀賣に育成選手として入って今季活躍した姜建銘(ジャンジェンミン)の存在であろう。日本のプロ野球がアジアの選手を「育てる」ということを前向きにしている証拠ではないだろうか。

翻ってメジャーはどうだろうか。アメリカのプロ野球は下部組織まで複雑多岐にわたっており,その土台はしっかりとある。メジャーを最初から志す日本人が,まずはシングルAそれ以下あたりからガチンコでメジャーを目指すという選手がどんどん出てくればいいのかもしれないが,今のところ日本プロ野球という育成の場で育った有力選手を吸い上げる場でしかないというのが現実ではないだろうか。

ないとは思うが,WBCで惨敗したメジャーリーグが「次のWBCからは国籍でなくリーグごとのチーム編成で戦おう」なんて言い出さないか心配である。