ドラフト制度廃止へ←西武の「栄養費」問題

プロ野球西武ライオンズがアマチュア選手2人に対し、金銭を渡していた問題で、その対象となる選手が、「東京ガス」と早稲田大学の選手であることが明らかになった。
この問題は、西武がドラフト会議で獲得を目指していたアマチュア選手2人に対し、食事などの名目で合計約1300万円を渡していたもので、9日に太田球団社長が謝罪会見を行った。そして10日、東京ガス木村雄太投手(21)が会見で、金銭を受け取っていたことを認めた。木村投手は「いけないことだとわかっていたけど、(金銭的に)家がきつい状態だった。残念だと感じています」と話した。
一方、早稲田大学の選手は沖縄キャンプには参加していないが、應武監督は、西武に対し、「激しい怒りと憤りを感じる」と話し、大学側は週明けにも事実関係の調査に乗り出す。 (日テレNEWS24
意に反して指名されたとされる木村雄太投手の横浜への入団交渉が決裂した意味がここでわかってしまった。

確かに,ドラフトという決まりがあってそれに従わなければならない。しかし,もしその決まりがなければどうだろうか。木村投手の家の事情につけ込んだという意味では卑怯だが,新しく外国人選手や他チームから移籍選手を獲得するのと同じ「投資」である。外見は裏金という形であって,だが間違いなくそれはチームから支払われている。

そもそもドラフトというのは,かつて入団希望者が讀賣に殺到することから戦力均衡の観点で自主的に設けた制度ではないのか。今の時代に,このシステムは必要なのだろうか。

象徴的だったのは,一昨年のドラフトで強行指名した讀賣への入団を当初拒否していた栂野投手である。結局,最大限の厚遇を受けて入団したが(これも横浜による裏金があったのだろうか),讀賣への入団を拒否する選手が出てくる時代になっているのである。

また,プロ野球というものがより地域に根ざすスポーツになりつつあり,ご当地選手がそのまま地元球団で活躍するというのは大変なメリットでもある。プロアマ交流の垣根も低まりつつある中で,各球団も地域のアマチュアの育成というものにも積極的になれば野球の底辺拡大につながる。

それから,そろそろ皆気づくべきだと思うのは,お金を積んだからそれが良い選手でもないということである。「超高校級」というような飛び抜けた選手などひとつかみであり,一番は育てるということが根っこにあってほしい。

ただ,循環論になってしまうが,上記の「ひとつかみ」の選手をどういう風に分配するかということには一定の制度が必要なのかも知れない。

結局悩ましいところだが,まずは選手会の求めるところ,そしてフロントの求めるところを明示して議論をすべきである。