井川慶はどこへ←奪三振王獲得と

阪神の井川が今季3度目の完封で14勝目。変化球が低めに決まり、被安打6で10三振を奪った。打線は一回に金本の2ランで先制し、六回に林のソロで加点した。ヤクルトは打線がつながらず、八回一死満塁の好機も併殺で逸した。(sanspo.com)
阪神東京ヤクルトそれぞれに敬意を表すべき引退選手がいたが,そのセレモニーも終わっており,充実した戦力の中でのラストゲームとなった。

テレビ中継もなく映像を楽しむことはできなかったが,井川が10奪三振の完封で,中日の川上とともに奪三振王に滑り込み,防御率も2点台になったのではないかと思われる。

今季の井川は,確実に過去2シーズンの姿とは違ったと言える。しかしそれは全体論なだけで,昨季よりひどい試合もあった。6回あたりに急に崩れるというのはエースと呼ばれる投手としては絶対にやってはいけないこと。エースというのはそのゲームをすべて任されているという立場であり,その日は監督は開店休業というか打線のことに集中したい日だ。そういう意味で,完璧なエース像とはいかない試合も数試合あって,それが9敗という負け数に出ているのだろう。

そして気持ちは自然と来季の井川の働き場所に向かうが,これからの「ストーブリーグ」でまたごねるようなことがあれば,何年もチームを去りたいというような選手に対して大金と既得権を振りかざし縛っておくのはもういいのではというあきらめの気持ちと,今季準優勝に終わってその悔しさを来季晴らして欲しいという気持ちがないまぜになっている。会社の経営という意味では,西武宜しくポスティングシステムを利用してその資金で新たな風を吹かせてくれる優良な選手を獲得するのも一案だが,単純に左投手でここまでの存在というのはいつの時代も貴重であり,簡単に手放していいものかという気にもなる。

井川慶という投手は,今そんなさまざまな二元論の狭間にいる希有な存在だということだ。