プロ野球を幅広く楽しもう←相次ぐ大型人事異動

横浜・多村仁外野手(29)と、ソフトバンク寺原隼人投手(23)の1対1の交換トレードが合意に達し、5日、両球団から発表された。
先発完投型の投手不足に悩む横浜と、右の長距離砲獲得を目指していたソフトバンクの意向が一致した。横浜は2001年のドラフトで寺原を指名したものの獲得できなかった経緯もあり、5年越しの希望がかなった形となった。(讀賣新聞
福岡ソフトバンクズレータをあきらめたということだろうか。WBCでレギュラーだった外野手とポスト松坂として甲子園を盛り上げた怪物とのトレードはまさに今オフ最大規模と言えるのではないだろうか。

「暗黒時代」からの阪神ファンの遺伝子を持つ私は,阪神への移籍イコール絶頂期をとうに過ぎた晩年期の選手がやってくることであって,逆に阪神からの移籍イコール負けばかりのチームに嫌気がさした選手がどうにか勝利を求めて出ていく物と被害妄想的になっていた。現に,阪神にやってきた著名な選手はそれまでの成績を乗り越えることはほとんどなく,逆に阪神を出て活躍する選手が目立つ姿に苦い思いをしたものだった。今となっては立場が代わり,二軍にあふれている有望な戦力を他球団が三顧の礼で求めにくるようになっている。

以前から思っていたことだが,メジャーのオフは本当にめまぐるしく,あの選手がいつの間にか東海岸から西海岸に行っていたなんてことは少なくない。一方で日本のプロ野球で契約更改なんかでもめて越年などしても,まず強行移籍などありえない。最近では「出場機会を求めて」という動機の移籍が多くなったが,以前に比べて他のチームへ移ることが心理的にハードルの高いものでなくなったのかもしれない。

今季は各球団がそれぞれに大なり小なりの痛みを伴いつつ新しい戦力を迎えるというサイクルが非常に顕著である。西武・阪神東京ヤクルトはエースをアメリカに送り出し,日本ハムオリックスは主力を讀賣に譲った形になった。横浜も数年は有望と考えられていた大砲を失い,しかも最下位にありながら10勝をあげた投手も失いつつある。ソフトバンクは小久保を戻すことに成功したが前述の通りズレータとの交渉はあきらめた様子。

総括するに,来季の戦いは,今季失われた戦力をどれだけ補うことができるかの争いに注目できるだろう。一方で,今季までなじんでいたあの選手が他球団で活躍する姿を楽しみやすいのも来季ということになる。

また,今季を境にしてオフと言えば大型トレードがあるぞ,という傾向になっていくかもしれない。大きな意味で日本のプロ野球全体が動き,選手個々がより働きやすい環境を探すという形が出てくるだろう(一方でそれが失敗のことも)。

日本のプロ野球も新しい楽しみ方が増えてきた。