テンポの悪さの中に光も←インド0×3日本

オシム監督は,前任者の顔をつぶすことなく結果的にはドラスティックに日本代表の顔ぶれを変化させることに成功した。しかし,数回の授業の中では自分の意図を伝えきれず,ひとつのチームをコピーし補完することで何とかチームとしての体裁を保とうとした(浦和レッズから大量招集)。不運にも,レッズの選手から故障者が出て,しかもそれがオシムのメインに据えていた選手だったことから,次は古巣の千葉をコピーし,本日に至っているのではないか。

とにかく集まる機会の少ない日本代表の場では,練習が授業であり,試合がそれを実践するための練習なのだと思う。インドはかなり格下にも関わらず,日本でのイエメン戦のように1人だけ残して全員がディフェンスというわけでもなくある程度積極的に来てくれるため,格好の練習相手になっている。

どうもテンポがよくない。攻撃になると,ボールを保持しているはずなのに浮き足立っている。考えて走るサッカーも,考えている間にボールをとられるという悪循環。特に,ガーナ戦で監督の言った60分という言葉がまさにぶり返し,自らが織りなすテンポの悪さに運動量も落ちてくる。

そんな中で光っていたのが,あのスコットランドで戦っているファンタジスタと名字を一にする中村憲剛だった。主には中央に位置し,時にはボランチそして前に言っては前線と絡みサイドに散らす。ゴールに一閃したあの一撃は,自分のキックの正確さを見せびらかさんばかりだった。

オシムジャパンを見ていると,試合自体はもどかしくておもしろみに欠けると切って捨てることはできるが,そんな中にもニュー中村や播戸といったすばらしい選手の紹介をしてくれるし,試合中にイヌが招かれたりと楽しみも尽きない,とこういう結論ではだめだろうか。