元祖おしゃれサッカーの現在←福岡2×1磐田

博多の森球技場で行われたアビスパ福岡ジュビロ磐田の一戦は、21世紀初となる福岡の勝利となった。Jリーグでの通算の勝敗はこれまでで磐田の12勝1敗1分け。寝ていても勝てるような歴史だったが、うかうかしていられなくなった。

私は10年あまりジュビロ磐田のサポーターズクラブに入っていて毎年出されるイヤーブックにも名簿が載ってくるのだが、柳下体制末期あたりからそのサッカーの魅力を感じなくなっていた。そうは言っても降格ラインからも程遠く(優勝争いとも程遠いが)近いうちにまた栄冠を争う時期が来るのではないかと注目しており、そのためにアジウソン監督が世代交代に苦楽を感じているさなかにあることを目にしておこうと思った次第である。

題に掲げたおしゃれサッカーというのは、一黄金期を作った磐田のサッカーそのものを指していて、まさに流れるようなパスサッカー、中盤を支配してそのまま試合の勝敗も支配するそんなサッカーだった。あらゆる点で美化しすぎだが、そう感じさせるほど魅力を感じたものだった。今でも、入ってくる新人選手含め個人の能力・技量は非常に高く感じ、あとは3人目の動きといったことが感覚的にできるようになってくれば強いチームになりそうだと常々感じている。

今日の試合は、そんなおしゃれは微塵も感じないサッカーを見せられた。特に前半はパスの受け手がほとんど受動的で「え?俺に?」という受け方が連鎖的に起こって試合を支配しきれていなかった。後半になって3人目4人目5人目とパスが流れるシーンはあったものの、磐田が開始早々の決定的なチャンスで決められなかったことと、福岡が磐田のスキをしっかりと突けたことが結果につながった。

福岡のサッカーはまさに運動量よろしくのサッカーであり、布部は肩書きはFWだが、ボランチあたりでボールを奪って一人で何役もこなす働きぶりで頭が下がる。後半になってもがくっと運動量が落ちるわけでもなく、苦しい時間帯に美しい中村の得点が入ってモチベーションの維持に寄与できていた。運悪く降格争いをしているが、充分に魅力あるサッカーだったと思う。