サポーターとチームのバランス←浦和レッズ祝初優勝

最終節までもつれたサッカーJリーグ1部は2日、浦和レッズが初優勝を飾った。
満員の埼玉スタジアムで、リーグ戦初優勝を目指す浦和レッズガンバ大阪に先制を許すが、同点で迎えた前半44分。ワシントン選手のゴールで勝ち越しに成功する。さらに後半14分、ワシントン選手が2点目のゴールを決めて、ガンバ大阪を突き放した。
この後、終盤の反撃を1点に抑えた浦和レッズが3対2で勝ち、悲願のリーグ初優勝を飾った。 (日テレNEWS24
ナビスコカップ天皇杯と制覇してこれも時間の問題であったが,Jリーグ開始当初はどうにも弱く集客力のないレッズが前向きに豹変した。「uragi.com」のアクセスも心なしか,重い。

ここのところ驚くのは,埼玉スタジアム2002が真っ赤に埋まる様子である。今日の入場者数はなんと62,241人。全ての座席で63700人であるから,アウェー側のサポーターとを分ける座席数以外は満杯である。私も何度も足を運んだことがあるが,あの交通の便が悪いスタジアムにそれだけの人が行き,おそらくそれ以上に行かれなかった人もいることを考えると地域に過剰に密着してしまったチームと言って良いだろう。確か,同じさいたま市をホームとする大宮アルディージャは2階席をすべて空けていたと記憶しているので,どれだけバランスが崩れているか察しもつくし,10年超というJリーグの歴史の中で少しでもレッズを愛した人が全部集まればこうなる想像は容易にできる。

とにかく,これまでJリーグの試合で選手が嫌がるような圧倒的ホームだとか圧倒的アウェイという状況は非常に少なかったのではないだろうか。その状況があの6万人の中で生まれてしまい,まさにスタジアムと選手が一体になったサッカーがそこにあったような気がする。

野球においては言わずもがなここのところの阪神タイガースが同じ状況を作り上げている。大阪ではよく阪神タイガースを特集した番組などもあり,選手のコメントを聞く機会も多いが(それぞれの地方でもあるだろう),「ファンを喜ばせたい」「ファンのために優勝したい」という趣旨の発言も多く,自分の成績うんぬんよりもまずファンに向いたコメントが多い。またドラフトやら何やらの入団会見でも同じようなコメントをよく聞く(新人選手までもがそんなことを意識しているのは驚きだが)。そして阪神球団は現にその発言に劣らない活躍ぶりができていると言える。だからこそファンも熱を入れて応援できる。現時点では選手とファンの関係が非常に良好であると言える。

ただ,こういうチームの宿命は,連敗したときに初めて真価が問われる。阪神球団がまた最下位に落ちたときには,2003年〜2006年の強かった頃との対比でかなりの落胆が生まれ,それまでの「暗黒時代」よりもさらに愛されなくなるかも知れない。そうならないかもしれないが,ファンも一度強い姿を見せられたのだから,それだけ落胆も大きくなるだろう。弱くても一生懸命やる姿には共感されるべきだが,今の讀賣なんかはまさにそれに近い。勝利のみがファンを集める状況。こうなると関係はさらに難しくなる。

サッカーはそのバランスが余計に難しい。野球の3連敗は3日とか4日だが,サッカーでの3連敗は1週間とか2週間単位のスパンで生じるものであり,その差は重い。これだけの熱狂の中で,これからもサポーターと選手が良好な関係でアウェイチームが嫌がるようなチームになって欲しいものである。