それぞれの天皇杯サッカー←決勝は浦和×G大阪

浦和とG大阪が勝って来年1月1日の決勝(国立)に進んだ。
J1勢同士の対戦は、2連覇を狙う浦和が鹿島に2−1と競り勝ち、2大会連続9度目の決勝進出。G大阪も2−1で札幌を退け、前身の松下電器が初優勝した第70回大会以来16大会ぶりに決勝へ進んだ。
J2勢で唯一勝ち残っていた札幌は初の決勝進出を逃した。(nikkansports.com)
準決勝は奇しくも2試合とも同じスコアであったが,その内容はかなり違っていたような気がする。

ガンバ大阪は,なんとJ1のチームを3つ破って勝ち上がってきたコンサドーレ札幌と対戦。今季の札幌のサッカーを見たことはなかったが,監督はかつてジュビロ磐田天皇杯制覇に導いた柳下正明氏。私は氏の采配はジュビロサッカーには合わないんじゃないかと当時思っていたが,それでも常勝を義務づけられていたジュビロにあってきちんとタイトルを運んでくれた人として敬意を持っている。また,今季の札幌は中位に甘んじたが,堅実な守備に定評があるのはやはり監督の手腕によるところが大きいのではないか。

ガンバ大阪と言えば今季J1で3位。昨季は優勝しているしもはや常勝軍団となっているが,宮本が今季限りで退団することくらいしかニュースはなく,あとは優勝できなかった今季の悔しさを晴らす絶好の場と言うことになる。

さて試合だが,早々とガンバの勝利は決定づけられることになる。前半18分,札幌がペナルティエリア付近でフリーキックを得て砂川がキックしたが,壁に当たり,すぐにガンバの速攻を食らうことになり失点。それまでプラン通りに堅守で固めていた札幌からするとかなり落胆する失点ではなかろうか。その後に集中を切らさず失点を重ねなかったのは賞賛に値するが,同点に追いつくことも容易ではなかった。後半,開始10分も経たないところで再び失点。これで多くの人は終わったと思っただろうが,その2分後に相川が目の覚めるようなボレーをガンバゴールにたたき込んで1点差を保つ。その後は左サイドでチャンスメイクしていた砂川がアクシデントで途中交代するという不運が札幌にあり,切り札西谷を投入するもガンバを脅かすには至らなかった。

やはり準決勝となると,勢いだけでは勝ち上がれない。しかし札幌のサッカーは勢いと言うより基本に忠実さ・堅実さが見られ,堅守速攻を皆が共有し実現していたという印象が強い。しかし同時に迫力に欠ける部分があって,それは攻撃の多彩さなのではないだろうか。天皇杯は彼らにとって大いに自信になる大会となったであろうしぜひ再来年にはJ1の舞台でガンバにリベンジしてほしい。

1試合目だけで長々となってしまったのでそろそろ2試合目。浦和対鹿島はやはり小野が決め手となった。

というより,主力がごっそり抜けてBチーム化しつつあった浦和が,その限られたメンツの中でひとつのチームとして完成し始めているのではないかという実感があった。坪井・トゥーリオがいない最終ラインはどう守る,アレックスのいない左サイドをどう使う,ワシントンのいない最前線をどう突破する,明確で残酷な課題に対していよいよ答えが見えてきてそれが実践できているように見えた。そして来季のレッズのサッカーを含めたこのチームの光はやはり小野にあるというのが確認できたことだろう。

個人的には元日の決勝は浦和の小野対大阪の遠藤の対決に集約したい。今季,それぞれの事情で満足にシーズンを戦えなかったふがいなさをぶつける絶好の場が用意されたことだろう。そういう意味で非常に楽しみな顔合わせとなった。