2007年スポーツへの提言

いろいろあった2006年,野球とサッカーでは世界大会で対照の結果となった(野球はWBCで世界一,サッカーはワールドカップにて1勝もできず敗退)。だが,来年を含め長いスパンで見ると両者に同じような課題が見られるのではないだろうか。

よく言われているのは,日本人選手の海外「流出」の問題。しばしばマスメディアでは野球におけるそれはネガティブに語られていて,サッカーにおけるそれはポジティブである。

それは国内プロの現状を反映しているものではあるが,サッカーにおいてそこまでポジティブかと考えればそうでもない気がする。オシム日本代表監督が海外組を呼ばないのは,やはりメリットよりもデメリットが大きいと思ってのことであろうし,それはチーム編成の問題や選手生命を慮ったものであるだろう。

だが,ザルツブルグに移籍することとなった宮本やアレックスを含め,今後さらに海外移籍が活発化してくれば,国内組すなわちベストメンバーというには厳しい状況がやってきてアジアの覇権を保ち世界を脅かす存在になるには厭が応にも海外組を呼ばなくてはなる状況がくるだろう。また,そろそろクラブワールドカップにもJリーグからのチームが名を連ねる待望論が著しい中で,強いチームから代表へ多数呼ぶことへの批判も出てくるかも知れない。そうした難しい状況の中で,2007年の日本サッカーはこれまでとは違うステップを歩む必要があるのではないだろうか。

野球においては,来年は大リーグを見たほうが楽しいのかも知れない。ただしだいたいが大リーグは深夜早朝のものであって日本のプロ野球は昼過ぎから夜のものであるから,多くの人に両方愛して欲しいと思う。日本のプロ野球がここからさらに人気あるスポーツとして「復興」するにはやはりお客を呼べる絶対的スターが望まれるが,それは創られるものではなく舞い降りて来るに近い存在のもの。ここは現実的に考え,いかにクオリティーの高いスポーツとしていくかを考えたい。

私はそれには指導者育成というところを考えたい。来季,プロ野球で外国人監督は4名になる。監督未経験者はゼロであり,返り咲いた横浜の大矢監督も経験者から再登板となった。そう,今の日本プロ野球で優れた指導者がなかなか出てこない状況になっている。それには,選手として海を渡るよりも,指導者の勉強のために海を渡ることが一案ではないかと思っている。そういう意味で,来季アメリカに行くことになった桑田真澄選手については長いスパンで注目してみたい。そして,長く野球に関わりたいと思う選手は,長く野球に関わるための勉強をアメリカでしてくることは有効なのではないだろうか。アメリカがすべてではないが,長谷川滋利氏や野茂選手が語っているメジャーのすごさというのは選手としてのキャリアを終えた後の充実があるそうであり,何かあるものはありそうである。

同じ指導者の問題はむしろサッカーの方にあるかもしれない。野球なんかよりも遙かに使い捨てにされやすいサッカーの監督業であるが,報道を見るに限られたパイを使い回しにしているだけである。またバクスター氏やオジェック氏など,かつての外国人指導者がまたやってくるという有限さ。日本人が海外で指揮を執る環境というのはそうたやすく得られるものではないかもしれないが,そうした経験を持ち帰って欲しいと切に願う。これはオシム監督も言っていることである。

我々スポーツファンにできること。これは2007年だ2006年だという議論ではまったくないが,やはりスポーツが行われている場に足繁く通い,生で体験し声を張り上げることだろう。そしてマスメディアの情報に触れ,こうしたブログを書いてスポーツを語り考えることだろう。

日本においてプロスポーツは年々いろいろな種目が増えているし底辺も広がっているように見えるが,年々岐路に立たされていることも確かである。2007年はまさにその「先っぽ」であってやるべきことはたくさんある。

まとめになったのか微妙なところだが,今年のすべてのスポーツに感謝し,来たる2007年も良き年になってほしい。